玉川温泉「大噴源泉」
秋田県仙北市にある玉川温泉(たまがわおんせん)には、奈良時代末期の806年9月に、標高1336mになる焼山の中腹が大爆発し、その噴火口から噴出した大噴源泉があります。
山の中であることから開湯されたのは江戸初期の1680年頃で、鹿が温泉でキズを癒していたと言う伝承から、昭和の初めまで「鹿湯」(鹿の湯)と呼ばれていました。
大噴(おおぶき)と呼ぶ源泉からは、毎分9000リットル以上、ドラム缶にして1分間に45本分の温泉が自噴しています。
湧出量が日本で一番多いのは草津温泉ですが、それは源泉数が何本もある総量でして、ひとつの源泉からの自噴量・湧出量として、日本で一番多いのは玉川温泉になります。
ちなみに、草津温泉の湯畑源泉は毎分4000リットルほどとされます。
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大噴源泉の温泉温度は98℃で、泉質は酸性-含二酸化炭素・鉄(II)・アルミニウム-塩化物泉です。
pHはなんと1.05~1.2程度と、とても強い酸性で、これも温泉の強酸性としては日本一となります。
硫黄の匂いも漂いますが、ラジウム温泉のため、放射線ホルミシス効果もあると言われています。
このような温泉の場合には、その空気中の水分を呼吸で吸い込むだけでも効能が期待できます。
私、温泉ソムリエでもございます。
長い時間、入浴するのには不向きな強酸性ですので、そのあたりは、玉川温泉に実際に入浴したレポートにて触れておきたいと存じます。
下記は玉川温泉「大噴源泉」の様子を撮影した短めの動画です。
散策路も設置されており、地球の大自然を感じながら、リフレッシュすることは可能です。
なお、出羽・久保田藩の佐竹氏は、鉄砲や大砲の火薬の原料として使用するため、鹿湯(玉川温泉)にて、硫黄の採取と精錬を行いました。
その工夫とマタギが、ケガをしたり、病気になった際に、鹿湯(玉川温泉)にて入浴すると、治癒が早かったと言います。
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玉川温泉の旅館を創業した関直右衛門さんも、若いころに北海道で出稼ぎをした際に、重い皮膚病を患ったと言います。
そして、北海道の定山渓温泉や登別温泉で湯治をしたり、群馬の草津温泉にも浸かりましたが良くならなかったそうです。
しかし、玉川温泉では僅か10日ほどで皮膚病が治ったと言います。
その後、昭和9年に鹿湯から「玉川温泉」と名称を変えて湯治場を整備しました。
また、アクセスする道路が無かったことから、現在の価値で2億円と言う私財を投じたとそうです。
これが玉川温泉の始まりです。
なお、玉川温泉と言えば「北投石」(ほくとうせき)が有名で、国の特別天然記念物に指定されています。
この北投石は、台湾の北投温泉で最初に発見された天然鉱物の名称になります。
放射性のラジウムを大量に含んでいる温泉沈殿物重晶石です。
世界でも台湾の台北市北投区と、日本の玉川温泉の2箇所でしか発見されていない大変貴重な岩盤であり、日本では特別天然記念物に指定されて保護しています。
よって、石を見つけて持ち帰ると刑事罰を受けることになりますので、そんなことはしないよう子供にも注意しましょう。
玉川温泉「北投石」での岩盤浴は、15~20ミリシーベルト/年と言われているのが、悪性腫瘍(癌)に効果があるとされる由縁です。
被ばく量の目安ですが、日本の法律では、仕事で放射線を扱う人の場合、1年間で50ミリシーベルト以下、5年間で100ミリシーベルト以下と定められています。
玉川温泉の北投石は、年間でも20ミリシーベルト以下とされます。
北投石から出る放射能により、ガンが自然治癒すると言うようなウワサもあり、日本で最大級の湯治場になっている玉川温泉は、約700名が宿泊できる設備になっています。
もちろん、医師の指導のもと、適切な利用が必要だとは存じますので、安易な目的と期待にて利用はしないよう心掛けたいところです。
なお、北投石の代替鉱石として、同じく放射能があるオーストリアのバート・バドガシュタイン鉱石が知られます。
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日帰り入浴や散策する場合には、下記の有料駐車場(1日100円)が便利です。
地図で場所をポイントしておきます。
なお、11月上旬くらいから4月下旬くらいは、国道341号の鹿角方面は積雪により通行止になります。
田沢湖方面からは、路線バスと業務車両のみ通行が許可され、一般車両は冬季通れませんので、ご注意願います。
田沢湖駅近くに駐車場は開設されます。
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繰り返しますが、自己免疫を高める治療目的で、本気で戦う方が長期滞在するところです。
一般的な温泉地ではありませんので、興味本位で北投石の場所を撮影することも自粛致しました。
皆様の健康とご多幸を願いつつ、節度あるマナーを守りたいところです。
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