比叡山・延暦寺(えんりゃくじ)(延曆寺)は、滋賀県大津市坂本本町にある山のうえの寺院です。
標高848mの比叡山の全域が境内で国の史跡になっており、ユネスコ世界文化遺産にも登録されています・
比叡山と呼ぶ場合と、叡山(えいざん)と省略して呼ぶこともあります。
なお、わかりにくいのですが、比叡山に「延暦寺」と言う名称の建物(寺院)はありません。
比叡山の山内は「東塔」(とうどう)、「西塔」(さいとう)、「横川」(よかわ)と、主に3つの山域に分かれており、3塔16谷あわせて約150の寺院・堂塔が点在しています。
その堂塔など、すべての総称として「延暦寺」と言う名称があると言う事で、単体の建物の名前ではありません。
広さは甲子園の約500個分と、とても広大です。
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よって、その比叡山、延暦寺を訪問する、観光すると言う場合、全部をみて回りますと、高野山と同じく、1日がかりとなってしまいます。
そのため、この記事では、はじめて訪問する比叡山・延暦寺の重要な観光ポイントを、効率よく見学する方法、極力、疲れないように周れる攻略法として、ご紹介申し上げます。
まず、簡単に比叡山の歴史から解説させて頂きますと、下記の通りになります。
最初は、平安時代初期の僧侶「最澄」(さいちょう)が開いた天台宗の本山になります。
高野山を開いた、空海(弘法大師)と、同じ時代を生きた高僧です。
最澄は、麓の坂本の豪族の子であり、次男などだったのでしょうか、12歳で出家し、19歳の785年に、比叡山に入って山岳修行を行ったのが始まりとなります。
そして、788年、薬師如来を本尊とした一乗止観院という草庵を建立し、比叡山・延暦寺の歴史が始まりました。
比叡山で修行した僧からは、浄土宗・浄土真宗の親鸞・臨済宗・曹洞宗・日蓮宗の日蓮といった、数々の宗派と名層も輩出していますので、まさに「日本仏教の母山」と言う事になります。
平安時代の中頃には、大人数の僧侶が修行するようになり、やがて「武装化」した僧兵も現れ、財力と武力を背景に、朝廷の統制も効かない、独立国家のような状態にまで拡大しました。
源義経の郎党になる、武蔵坊弁慶も、比叡山で修行していたとされます。
このように強力な集団となっていたため、室町幕府の6代将軍・足利義教は、比叡山の根本中堂を焼くなどして、1435年に討伐も行っています。
しかし、足利義教が、赤松教康の配下の者によって暗殺されると、再び、比叡山は勢力を盛り返し、戦国時代には数万人規模の僧兵を抱えています。
ただし、僧と申しましても、酒も飲めば、女遊びもするということで、当時は、だいぶ堕落していたようで、権力を盾に悪さもしていたようです。
更には、天下を狙う織田信長に対して、比叡山は朝倉氏・浅井氏に味方したため、敵視され、1571年、織田勢による「比叡山焼き討ち」となりました。
攻撃参加した織田家の武将は、織田信長、明智光秀、池田恒興、柴田勝家、佐久間信盛、木下秀吉、武井夕庵、中川重政、丹羽長秀と、そうそうたるメンバーです。
山のうえですので、織田家の兵士も大変だったとは存じますが・・。
のち、豊臣秀吉や徳川家康によって再建が始まり、根本中堂は徳川幕府・3代将軍の徳川家光が寄進して現在に至ります。
そんな歴史ある比叡山延暦寺の訪問・観光で、一番のみどころ・名所は、やはり「根本中堂」になります。
根本中堂(こんぽんちゅうどう)は、延暦寺の総本堂、すなわち比叡山の中心的な存在であり、幅は約38m、奥行約24mと、とても大きな入母屋造の建物です。
その威厳さからも比叡山の建造物としては、唯一「国宝」に指定されています。
根本中堂は2026年頃まで平成の大改修中ですので、建物は工事用建屋にカバーされている状態ですが、内部の見学はできるようになっています。
もちろん、工事途中の貴重な状態も見学できるようにコースが設定されています。
内部は撮影禁止のため、写真でご紹介はできませんが、もちろん、素晴らしかったです。
よって、比叡山を訪れた場合、根本中堂は外せない、一番重要な観光スポット・拝観場所となります。
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この「根本中堂」は、くぼんだ低所と申しましょうか、坂の下にあります。
そのため、根本中堂を見学する前に、先に「大黒堂」や「文殊楼」(国の重要文化財)を見てから、階段を下りて行き、帰りは坂道を登って萬拝堂の戻ったほうがラクです。
下記は文殊楼となりますが、立派な門です。
私は、逆に回ってしまい、階段を登るのに苦労してしまいました。
そのあとは、少し狭いけど、ゆるい階段を登っていきますが、木陰になっていて気持ちが良いです。
写真撮影が禁止の為、画像ではご紹介できませんが、根本中堂の本尊・薬師如来像の前に灯る3基の「不滅の法灯」(ほうとう)は、開創以来、1200年以上、消えることなく、ずっと灯り続けています。
燃料は菜種油で、油が切れると、火が消えてしまうことから「油断大敵」の語源との事です。
そして、重文の「大講堂」(旧東照宮本地堂)を拝観できると良いでしょう。
比叡山・大講堂も大変立派な建物です。
時間があれば、少し坂道を下って「国宝殿」も寄れると良いです。
また、戻ってきたら、あとは、坂道と階段をずっと頑張って登って行きましょう。
基本的に山の上ですので、起伏には富んでいます。
下記は「法華総持院・東塔」です。
比叡山の秋の紅葉は、麓より約1ヶ月早く10月下旬~11月に見頃を迎えます。
下記は「阿弥陀堂」であり、これらもお勧めとなります。
以上の建物などがあるエリアは「東塔」(とうどう)と呼ばれるエリアで、この境内に入るところ(2箇所)に有料の拝観料徴収の窓口があります。
下記がその入口のひとつです。
要するに、有料エリアに、数々の寺院があると言う状況であり、建物ごとに拝観料が必要だと言う事ではありません。
なお、チケットじたいは、東塔・西塔・横川共通券となっていて、別のエリアに移動しても、追加料金を取られることはありません。
国宝殿(宝物館)を拝観する場合には、別途、料金が必要です。
以上の「根本中堂」「大黒堂」「文殊楼」「大講堂」「国宝殿」「法華総持院・東塔」「阿弥陀堂」の7か所で、見学所要時間はざっと1時間~2時間といったところです。
坂本ケーブルを往復利用して、麓から2時間~3時間と言う状況でしたので、ご参考賜りますと幸いです。
昼食・ランチが取れる場所は、萬拝堂の脇に、そば屋さん・お土産物店がありました。
他にも、有料駐車場の近くなどにもあります。
要所にはジュース類の販売機もあります。
なお、東塔エリアから、西塔・横川への移動は、車にて、奥比叡ドライブウェイ(有料道路)を通行して移れます。
比叡山内シャトルバスの運行もありますので、ケーブルや比叡山ロープウェイで訪れた場合でも、心配はありません。
ただし、冬季は道路も凍結するため、バスは運休となります。
また、冬は寒いですので、防寒具などにも気を使いたいところとなります。
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比叡山内シャトルバスの時刻表・ダイヤ的な部分ですが、平日は1時間に2本程度の運行です。
土日祝は2倍ほど増発されます。
なお、1日乗り降り自由になる、お得な乗車券もありますので、割引もうまく活用したいところです。
前述のとおり、冬季は運休です。
ただし、道路は除雪しますので、スタッドレスなどであれば、自家用車の通行は可能です。(大雪でなければ)
交通アクセス・行き方に関してですが、下記にて「坂本ケーブル」もご紹介していますので、よろしけば、あわせてご覧頂けますと幸いです。
・坂本ケーブル 駐車場や比叡山延暦寺への参拝ルート
・最澄とは 天台宗をもたらした伝教大師最澄
・覚恕法親王の解説 比叡山延暦寺「天台座主」
・オリジナル関西の史跡地図
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