佐渡奉行所(さど-ぶぎょうしょ)は、新潟県佐渡市相川広間町にある国の史跡です。
そもそも「奉行」と言うのは、武士政権における政務を担当する役職のひとつとなります。
佐渡奉行として役人が赴任した訳でして、その奉行の役所として使用したのが奉行所と言う事になります。
佐渡に奉行が赴任したのは、関ケ原の戦いのあと1601年となります。
上杉景勝が米沢城に厳封されると、佐渡一国は徳川幕府の直轄領となりました。
そして、敦賀の豪商である田中清六が佐渡代官に任命され、上杉景勝の遺臣・河村彦左衛門、吉田佐太郎,中川主税ら4名の奉行人とともに佐渡一国の政務を担当した訳です。
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江戸時代には「藩」(はん)と言うものがありますが、藩は徳川家の家臣として、領地を与えられたわけで、藩の場合には政務を行う場所として「城」が用いられました。
直轄領は、藩ではないため、政務を行う場所は「陣屋」ですとか「代官所」「奉行所」と言う事になります。
しかし、佐渡ではすぐに年貢の5割増を命じたため、困窮した百姓が江戸幕府に願え出て、代官は交代となり、1603年に大久保長安が佐渡に赴任しました。
大久保長安は佐渡金山の開発を急いだことから、鳴子に設置されていた代官所を、相川に移し、佐渡奉行所としました。
また、佐渡島内に5箇所(のちに4箇所)にも代官所を設置しています。
外の部分は下記のように堀も設けられています。
ただし、大久保長安が、常時、佐渡に滞在していたとは考えにくいです。
大久保長安は、徳川家康から信任厚い側近であり、佐渡金山だけでなく石見銀山の代官や、伊豆金山でも開発を行っています。
それ以外にも関東、信濃、甲斐、美濃、駿河、大和、越後の統治も担当していましたので、恐らくは家臣らが実務を担ったものと推測致します。
そうそうトイレもきちんと復元されていました。
江戸中期からは基本的に佐渡国の民政を担当する町奉行と、佐渡金山などの金銀山の経営を管轄する山奉行の2人制となっています。
配下には組頭2人、広間役7~8人。
他には定役、並役、使役、同心らが約70人、牢守、水主、与力(30騎)など300人の役人がいました。
佐渡奉行所には、金銀山の管理と行政を行う役所「御役所」と、金や銀を選鉱する工場「勝場」(せりば)、そして奉行が生活した「御陣屋」がありました。
下記はその工場となる勝場です。
内部では実際に錬金術の方法などが展示されていました。
ボランティシア・ガイドさんもいるようです。
人口密集地にあることから、江戸時代に、焼失と再建を5回繰り返しており、明治維新となると、学校として改築されながら使われてきたと言います。
1942年にも火災によって全てが焼失したあと相川中学校が使っていましたが、半世紀を経て、2000年に御役所部分が復元されるなど復元整備されました。
安政5年時の建物として復元されています。
お白洲もいくつか復元されており、訴訟のたぐいも多かったのだろうと想像が膨らみます。
下記は「灰吹き法」で使用されていた鉛の板で、奉行所跡の深さ1.1mの穴から、172枚発掘されたうちのひとつとなります。
国指定の重要文化財です。
このように佐渡奉行所は、江戸幕府の財政を支える極めて重要な役割を担っていたのです。
下記は穴蔵です。
御花畑と呼ばれる展望台がありました。
下記は、その出口を入口側から撮影した写真です。
天保の日記では「ここは、おはなばたけと呼ばれているが、今は花はない。以前は草花を植えていたのだろう。」とありますので、300年前からお花は無かったようです。
佐渡奉行所への交通アクセスですが、路線バスの場合、最寄りのバス停は「佐渡版画村」(七浦海岸線)となり、徒歩約1分です。
レンタカーなどの場合、両津港より車で約60分となります。
駐車場は、約10台ほど無料なのですが、場所がちょっとわかりにくいです。
当方のオリジナル地図にてご確認頂けますと幸いです。
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有料拝観施設となっており、営業時間は朝8時30分~17時(入館は16時30分まで)となります。
12月29日~1月3日の年末年始はお休みです。
佐渡奉行所の観光所要時間は、約30分~40分といったところでしょうか?
佐渡金山や北沢浮遊選鉱場とセットでどうぞ。
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