カッパ淵(カッパぶち)は、岩手県遠野市にあるカッパ(河童)伝説の場所です。
日本では各地にカッパ伝説がありますが、その代表格が東北の遠野(とおの)です。
土淵町の常堅寺の裏手に水深も浅い小川が流れています。
正しくは小烏瀬川(こがらせがわ)の姥子淵(おばこふち)と言いますが、通称は「カッパ淵」と呼ばれています。
その昔には、たくさんのカッパが住み着いており、民族学者である柳田國男の「遠野物語」の中では、小川に水を飲みに来た馬を、引き込もうとする、いたずら好きなカッパも登場しています。
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駐車場からのどかな遠野を、てくてく歩いて、まずは常堅寺を目指します。
畑ではビールのホップを栽培しているようです。
常堅寺(じょうけんじ)は、曹洞宗の寺院で、1490年4月に多聞秀守を迎えて開山しました。
恐らくは、陸奥・横田城主の阿曽沼広郷の庇護もあったのでしょう。
ただし、もっと創建が古かったと言う説もあるようです。
全国で唯一となる、カッパ狛犬が両脇にいます。
カッパがワンちゃんだった訳ではないでしょうが、カッパがいたと言う事を物語っています。
常堅寺の門が開いている時間帯、8時30分~16時30分は、境内に入って、本堂の左わきを抜けると、カッパ淵に出れます。
時間外の時には、常堅寺の北側(墓地)をかすめて、グルッと回り込んで、カッパ淵に行くことができます。
常堅寺はカッパ淵に隣接しています。
なんでも、常堅寺で火災があった際に、カッパが火事を消したと言う伝承があり、そのため、守り神として狛犬になったと伝わります。
頭のお皿の水で、お寺を助けたと言います。
下記写真の橋が掛かっている小川が、カッパ淵です。
カッパ淵は、清らかな水が流れていますが、木々で囲まれており、独特の雰囲気を感じます。
しかし、なんで「カッパ」なんて言う生き物がいると言う事になったのでしょう?
想像を含ませますと、カッパは恐らくは浮浪者だと感じております。
昔から、川辺・川岸には浮浪者が住むことが多いです。
例えば、戦国時代でも、尾張では「川並衆」と言う、川に住む人々を統率した集団がいて、一種の傭兵として活躍したり、川運をして生計を立てていました。
その頭領が、蜂須賀小六だともされます。
遠野のカッパは、そこまでは、していなくても、やはり、子供が近づくと、危ないこともあったので「カッパがいる」として、近寄らないよう、怖がらせたと、勝手に考えております。
カッパの姿と言いますと、頭がはげている風情が思い浮かびますが、大変失礼な話、そのような風情の人物が、ここにいても、おかしくなかったのではないでしょうか?
差別している訳ではなく、ひとつの伝承の可能性として記載致しましたが、失礼の段は、謹んで深くお詫び申し上げます。
遠野の場合には、そのカッパさんが、常堅寺の本堂の軒下に住み着いていたとしても、おかしくないな?と感じました。
ただし、冬は寒くて、とても野外で生活(野宿)することは困難だと感じます。
となると、火事を発生させたのは、カッパだったのかも?と、勝手に想像してしまいます。
まぁ、遠野には想像力豊かな、語り手さんがいたのでしょう。
素晴らしいことですね。
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下記は水辺にあるカッパ神を祀った小さな祠です。
子持ちの女性が、お乳が出るようにと願をかけると良いとされます。
なお、願かけには、赤い布で乳の形を作り、この祠に納めるのが習わしなようです。
黄桜のモチーフのようなカッパさんもいました。
ここで、気がついてしまいました。
カッパ淵に、監視カメラのようなもの?が設置されているではないですか?
現地では、カッパが現れた際の証拠として、監視カメラを設置しているのかな?と感じました。
あとで調べてみましたら、遠野テレビさんのカメラだそうでして、番組と番組の間などにライブ映像配信しているそうです。
さて、カッパ淵でカッパを捕獲する場合には「カッパ捕獲許可証」が必要なんです。
河童に遭遇した場合、捕獲するには、伝承園や遠野ふるさと村などの売店で売られている「カッパ捕獲許可証」が必要となっています。
2019年版のカッパ捕獲許可証絶賛販売中ですよ~!改元の年の記念に皆様おひとついかがですか? pic.twitter.com/PLUVlbAgyj
— 遠野市観光協会/Tono Tourist (@tonokankou) 2019年4月1日
キュウリなどの新鮮な野菜を持参致しますと「カッパ釣り」ができます。
カッパ淵の脇に、貸し出し用の釣り竿も設置されていて、自由に使えるのですが、小生が訪れました3月末は、まだ、日陰は雪が残っているせいか、配置されていませんでした。
確かに、水も冷たく、とても、カッパは出てきそうもありません。
許可証は、遠野観光協会の通販サイトにて、通信販売購入もできます。
ただ、遠野のカッパは、悪さをしても「いたずら」と表現されていますので、逆に親しみやすいと申しましょうか、人々からは、嫌われていなかったのかな?と感じます。
下記の写真は、カッパ淵を流れている小川の、すぐ下流のほうですが、農耕地を流れていました。
奥さんの感想としては「今にもかっぱが出そうな雰囲気が良かったです」、子供の感想としては「カッパは、落ち武者だったのかな?と感じました」とのことでした。
遠野・伝承園
かっぱ淵の駐車場から徒歩1分のところに、古い建物を集めた遠野・伝承園(でんしょうえん)があります。
入口(受付)になる建物も茅葺の建物です。
土日などタイミングが良ければ、語り部さんの民話を聞くこともできます。
時間が合わない場合には、録音しているものが聞けるようにもなっています。
また、お食事処では「ひっつみ」や「けいらん」などの郷土料理も堪能可能です。
下記の南部曲がり家「菊池家」は、1750年頃に建てられた最も古い時期の南部曲り家で、国の重要文化財に指定されています。
遠野ふるさと村は広いですが、伝承園はコンパクトですので、20分~30分あれば見学可能です。
また、伝承園では、事前に予約すれば、名物とも言える「カッパおじさん」による、カッパ淵ツアー(30分から)を楽しめます。
一生懸命、カッパ釣りにもチャレンジして頂けるとの事です。
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駐車場はカッパ淵と伝承園を兼ねています。
カッパ淵・伝承園への交通アクセスですが、遠野駅から早池峰バス土淵線で約22分、伝承園バス停にて下車して徒歩約5分となります。
近辺や常堅寺には、観光用の駐車場はありません。
無料駐車場は、カッパ淵から歩いて5分ほどの場所にある「伝承園」の脇を利用する形になります。
トイレもあります。
当方のオリジナル東北観光地図にて、場所が分かるようにポイントしてあります。
攻略手順を、まとめますが、駐車場にクルマを止めましたら、道路を横断して、まずはカッパ淵に行きましょう。
常堅寺の山門から入って、本堂の左手へ入っていくと、カッパ淵の「橋」があります。
橋を渡って、川沿いを右手に進むと、カッパ淵です。
トイレは駐車場と常堅寺にもあります。
観光所要時間は、カッパ淵だけでしたら、グルッと周って約20分です。
せっかくですので、伝承園も有料拝観されると良いかと存じます。
伝承園では昼食もとれます。
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時間に余裕があれば、せっかくですので「遠野ふるさと村」、遠野駅のほうにある「とおの物語の館」も見ておきたいところです。
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