丹内山神社とは
丹内山神社(たんないさんじんじゃ)は、岩手県花巻市東和町に、古い時代からある神社です。
長らく大聖寺と呼ばれていましたが、明治維新のときに丹内山神社と名称を変えました。
ご祭神は下記の通りになります。
多邇知比古神(たにちひこのかみ)
天之御中主神(あまのみなかぬしのかみ)
高御産日神(たかみむすびのかみ)
神御産日神(かみむすびのかみ)
宇麻阿志訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)
夫之常立神八十八座
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非常に珍しい神様ばかりが祀られています。
多邇知比古神は、なんでも、上吉地方を開拓した西暦700年頃の人物です。
平安時代に弘法大師(空海)の弟子である日弘(にっこう)が創建して「大聖寺不動丹内大権現」と命名したともあります。
そのあとと考えられますが、坂上田村麻呂が東征した際に、この場所に社殿を改築したと言います。
承和年間(834年〜848年)に、釈日弘・堂が建てられて、不動明王が安置されたとのことです。
なんでも、坂上田村麻呂は、この神社の神を恐れて、成島毘沙門堂に毘沙門天を祀って、この神社を睨むようにしたとの話があります。
そのあとは、源頼義、藤原清衡、安俵城の小原氏、盛岡藩主・南部利敬らからも信仰を集めた、由緒ある神社です。
特に、平泉の藤原清衡は、仏像や神領を寄進しました。
現在の本殿は、棟札から江戸時代の1810年に建てられたと考えられています。
なお、丹内山神社の最奥部、本殿の裏側には、丹内山神社のご神体である、アラハバキ大神の巨石(胎内石)があります。
まさに、強力なパワーを秘めた巨石の存在感は大きく、この巨石は、蝦夷ら先住民より自然信仰の対象になっていたのは、間違いないでしょう。
ひとつの大きな岩なのですが、ポッカリと狭い穴が開いています。
そのため、胎内石とも呼ばれ、接触せずに通り抜けられると、安産になるともされています。
ただ、かなり幅が狭いです。
大人の女性が通過するのは困難でしょう。
薄着の季節に女の子が抜けれるかどうかですので、背も低かった昔の女性であれば、問題なく通れたのかも知れません。
そして、ヤマト王権が東北を支配するようになっても、この巨石は信仰を集め、多くの名僧が相次いで訪れました。
落ちそうで、落ちない岩でもありますので、合格祈願・試験合格にもご利益がありそうです。
高橋克彦さんの「火怨―北の燿星アテルイ」では、蝦夷(えみし)の首領・阿弖流為(アテルイ)が、アラハバキ(荒覇吐・荒吐・荒脛巾)神の御神体の前にて、巫女により祝詞を受けるシーンがあります。
荒吐(あらははぎ)と言うのは、津軽にいたとされる荒吐族ともされます。
確かに、十三湖の北側に、アラハバキ神社とされる神明宮があります。
その民族が信仰した神が荒脛巾神(カキハバカムイ)で、やがて、アラハバキと呼ばれるようになったとも考えられます。
もちろん、諸説ありますので、これが正しいとは申せません。
大坂にある四天王寺の場所は、古い地名が荒墓邑(あらはかむら)と言いますので、関連性も指摘されています。
いずれにせよ、縄文人が暮らすようになると、巨石には神が宿っていると信仰したのでしょう。
そんな巨石には、驚くべきことに、岩から木が生えているように見えます。
どっから見ても、岩から木が生えているようにしか、見えません。
しかも、木のカタチが、人がバンザイでもしているように見えます。
まさに生命力を感じます。
下記は雪が積もることが無いと言う、地面に露出している岩です。
もともと、豪雪地帯ではありませんが、まぁ、岩は太陽が当たる場所にあるものと推測致します。
下記は、祖父杉の幹に、なんと桐の木が生えていたと伝わる伝説の幹ですが、焼け落ちてしまい、現在の状態になっています。
このように「七不思議」とされる場所が、境内にある不思議な神社です。
交通アクセス
丹内山神社への交通アクセスですが、JR釜石線の土沢駅からバスで25分、雲南バス停にて下車して、徒歩5分となります。
クルマの場合、東和ICから約15分の距離です。
この付近は、ほんと、走っている車も少ないです。
今回、岩根橋駅方面から自動車で入って行ったのですが、途中から道路は未舗装となりました。
舗装路が良い場合には、県道284号から入って行くと良いです。
当方のオリジナル東北観光地図にて、駐車場の場所も印していますので、カーナビ代わりにご利用頂けますと幸いです。
駐車場にトイレもあるのですが、冬期は凍結するため閉鎖されていますので、ご注意を。
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近くには、南部曲がり家に改造されたと言う、曲り家としては古い形態で、国の重要文化財になっている旧小原家住宅もあります。
丹内山神社を訪れる方は少ないのですが、とても、興味深く、またゆっくり参拝してみたくなる霊験あらたかな神社でした。
参拝の所要時間は、30分ほどになります。
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