道後温泉本館
道後温泉は、日本国内でもかなり古くからあった温泉で、有馬温泉などと共に3000年もの歴史があると言われています。
実際に、付近の冠山より約3000年前の縄文中期の土器などが出土しており、神話の世界でも登場する温泉であり、道後温泉は日本最古級の歴史を持ちます。
市電の終着駅でもある市内電車の道後温泉駅前には、坊っちゃんからくり時計、足湯、湯釜などがあります。
お土産物屋さんなどがギッシリ並ぶ商店街を抜けて行くと、道後温泉・椿の湯があります。
そこから東へと2分ほど歩いたところに、道後温泉本館と言う国の重要文化財にも指定されている温泉共同浴場があります。
宮崎駿監督の映画「千と千尋の神隠し」に登場する「油屋」(湯屋)のモデルともされています。
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温泉ソムリエより一言
大変恐縮ですが、温泉ソムリエでもある私より、道後温泉の泉質について一言申し上げます。
道後温泉の近くには火山はありませんので、火山性の温泉ではないのですが、ここで約42℃~51℃の温泉が大量に自然湧出しています。
泉質は単純温泉で、お湯に特徴はないはずなのですが、なんと申しましょうか、大変「まろやか」なお湯でして、長い間、地面の中を水が通って、自然に熟成されたような印象を受ける良湯です。
無理に地下で暖まっているお湯を動力で汲み上げたものではないため、本当に、何年も、もしかしたら何十年と地下を漂ったお湯が、ここ道後で自然湧出しているのかも知れません。
そのため、3000年もの古来より道後温泉が日本人に親しまれてきたのもよく理解できます。
塩素が投入されることになったのは、仕方ないところですが、万人に優しい単純温泉でも、単なる単純泉とは思えない泉質・・。
分かる方には、わかるでしょう。
道後温泉本館の入浴方法
1894年(明治27年)に完成した道後温泉本館は、今で言う日帰り温泉でして、文豪・夏目漱石や正岡子規も頻繁に通っていました。
道後温泉本館で、現在入浴できる浴室は「神の湯」(かみのゆ)と「霊の湯」(たまのゆ)の2種類があり、それぞれ男女別に分かれています。
しかし、入浴券を購入する際には、料金システムも下記の4種類がありますので、現地で知ると、どれに入れば良いのか迷ってしまいます。
そのため、下記の情報から、事前に入りたいなと思えるものを選択しておきましょう。
(A-1)神の湯階下(60分=410円)は、一般的な銭湯と同じ感覚で気軽に温泉を楽しめます。
タオルは付いていないですし、浴室に石鹸やボディーソープ、シャンプー類はありませんので、持参するか、貸タオル+石鹸(60円)、シャンプーセット(自販機)を利用して下さい。
脱衣所ロッカーは、無料のカギ式です。
なお、男性の神の湯は、西と東と2箇所ありますが、脱衣所は共通なので、タオルで体を拭いてから脱衣所経由で、別の浴室へと移動可能です。
女性の神の湯は現時点では1つだけで、常に混雑気味な為、増設する計画もあるそうです。
脱衣所のドライヤーは10円式です。
2階の休憩所は利用できません。
3階にある「坊つちやんの間」は自由見学可能ですが、霊の湯は利用できません。
又新殿も見学される場合には、別途260円の見学料が掛かりますが、係員さんによる説明がつきます。
(A-2)神の湯2階(60分=840円)は、階段で2階に上がっての休憩所と浴衣サービスがつきます。
貴重品以外の荷物類は2階座敷にそのまま置いておけます。
その浴衣を持って、1階の神の湯に行き入浴するのですが、浴衣に着替えて、また2階に戻ると、お茶とせんべいが出されます。
タオルや石鹸やボディーソープ、シャンプー類はありません。
浴衣を着た場合には、また1階の脱衣所に戻って、着替える必要が生じますし、時間制限が60分ですので、最初から浴衣は着ないと言う選択も良いです。
3階にある「坊つちやんの間」は自由見学可能ですが、霊の湯は利用できません。
又新殿も見学される場合には、別途260円掛かります。
(B-1)霊の湯2階(60分=1250円)は、奥の階段から2階に上がって、更にグルッと奥の方へと進みます。
貴重品以外の荷物類は2階座敷の休憩所にそのまま置いておけます。
そして、浴衣と貸タオルが提供されますので、浴衣とタオルを持って、1階の霊の湯へ行きましょう。
貴重品ロッカーを利用する場合には100円が戻らない式です。
霊の湯の脱衣所ロッカーも無料のカギ式で、霊の湯の浴室には、ボディーソープとシャンプーもあり、利用者は神の湯より少ないので、身体を洗ったりするのであれば、霊の湯2階が便利です。
なお、浴衣は神の湯2階同様に、着なくても大丈夫です。
そして、霊の湯の利用客は、上記の神の湯階下も利用できます。
すなわち、霊の湯と神の湯の両方に入浴可能です。まぁ、泉質が違ったりしている訳ではありませんが・・。
でも、60分制限ですので、ご確認申し上げます。
入浴したあと、霊の湯2階に戻ると、お茶とせんべいが出されますが、その2階奥には女性専用の着替えスペースもあります。
そして、帰りますよとなると、日本で唯一の皇族専用温泉となる「又新殿」(ゆうしんでん)の見学コースを案内されます。
又新殿の内部は皇室用のため、すべて写真撮影禁止です。
又新殿は基本的にガイドさんがついて、10分くらい掛かりますが、これは60分には含まれないようですので、ご安心ください。
また、3階にある「坊つちやんの間」は自由見学可能です。
(B-1)霊の湯3階個室(80分=1550円)は、奥の階段から3階に上がって行きます。
貴重品以外の荷物類は3階個室にそのまま置いておけます。
そして、浴衣と貸タオルが提供されますので、浴衣とタオルを持って、1階の霊の湯へ行きましょう。
階段も狭くて昔ながらの急な階段ですので、結構、移動が大変です。
霊の湯の脱衣所ロッカーは無料のカギ式で、霊の湯の浴室には、ボディーソープとシャンプーもあります。
なお、浴衣は同様に、着なくても大丈夫です。
そして、霊の湯の利用客は、上記の神の湯階下も利用できます。
入浴したあと、霊の湯3階個室に戻ると、お茶と坊っちゃん団子が出されます。
そして、帰る際には、同じ3階にある「坊つちやんの間」が自由見学可能です。
2階の奥へと進めば「又新殿」(ゆうしんでん)の見学コースもOKです。
ただし、3階個室は数も多くないので、小生が訪れた平日夕方は既に満室でした。
土日祝もかなり厳しいでしょう。
※各料金や仕組みは2017年9月現在です。
いや~、始めてだと非常にわかりにくいですね。
老夫婦さんが先に受付前に来ていたのですが、値段表を見てずっと迷っておられたので「先にどうぞ」と言われてしまいました。
湯上りにお茶とお菓子が出される接待方法は昔ながらの情景ですので、2階利用がお勧めです。
ただし、階段が狭くて急な昔の建物ですので、膝(ヒザ)が悪い方は階段を登ったり、降りたりするのが大変だと思います。
子供の場合、個室でも各料金はほぼ半額となります。
なお、時間制限は目安なようで、きっちりと監視していると言う事ではなさそうなので、あまり気にしなくても大丈夫そうですが、まぁ、ルールですので極力守りたいところです。
記念タオル(お土産用)は、石鹸つきで220円で購入できますので、当然、私もゲットさせて頂きました。
道後温泉本館オリジナル浴衣は気に入ったらsサイズからLサイズだと3900円で購入することもできます。
営業時間は朝6時からで、概ね21時頃札止めとなります。
2階や3階は混雑していて満席でも「空くのを待ちたい」「予約したい」と申し出れば、何分後に来てください、又は呼び出しします、なんて話になります。
12月に大掃除でお休みの日が多少あるようですので、ご注意を。
なお、道後温泉本館のお湯は完全掛け流しですので、湯船で温度調整ができません。
そのため、道後温泉の分湯を管理している道後市の技術者さん7名が交代で勤務しており、外気温などを測定し、配湯する時点で温度を調整して流し、実際に湯船に注がたお湯が適温になるようにしているそうです。
なお、朝の一番湯のためには、真夜中のうちから注ぐ作業をなさっているとの事ですので、本当に頭が下がる思いですが、このような方のお蔭で、我々も温泉を堪能できる訳です。
飛鳥乃湯泉と道後温泉本館の耐震工事
2017年9月26日に、新施設として道後温泉別館「飛鳥乃湯泉」(あすかのゆ)がオープンします。
別料金だと思いますが、皇室専用の「又新殿」を再現した特別浴室もありまして、なかなかアイデアもあふれています。
道後温泉「椿の湯」の隣です。
この新施設は、道後温泉本館の耐震工事が必要となり、その間に「休業」するため、代替えの温泉施設と言う意味合いとなりますが、恒久的なものでもあり「外湯」と言う位置づけです。
100年以上も営業している道後温泉本館の耐震補強工事は、国の重要文化財でもあるため、時間も掛かります。
完全閉館の場合の工期は5年~7年、部分開館の場合には7年~9年も掛かる見込みです。
総事業費は約20億円で、まだ、どのような方法で工事に入るか、検討しており決定はしていませんが、2018年の秋頃から工事となる見込みです。
さて、最後に幸運のスポットをご紹介致します。
玉の石にお湯を掛ける
道後温泉本館には幸運のスポット、パワースポットもあります。
大国主命(オオクニヌシノミコト)と少彦名命(スクナビコナノカミ)が、国づくりのため出雲から伊予に入りました。
その際に、少彦名命が急病で苦しみ出しましたが、大国主命が少彦名命を手のひらに乗せて、道後温泉にて温めたところ、元気を取り戻して、この石の上で踊り出したと言う伝説があります。
この玉の石に道後温泉の湯をかけて、願いを込めると、神様に通じるとされていて「病気平癒」「縁結び」「商売繁盛」にご利益があると言います。
道後温泉本館の建物脇(北側)の道路沿いにありますので、無料で誰でも参拝可能で、長いひしゃくと、掛ける温泉も用意されています。
アクセスと駐車場
道後温泉本館の場所ですが、下記の地図ポイント地点となります。
地図は縮尺を変えてご覧願います。
駐車場は道路向かい(南側)から登れる山の上に有料駐車場があります。
実際の道後温泉のお湯の感じなどは、下記の温泉専門サイトにて掲載させて頂いております。
合わせて、道後温泉・椿の湯にも入浴して参りましたので、よろしけば下記もご覧願います。
・道後温泉本館「神の湯」「霊の湯」~3000年の歴史ある古代から受け継がれる名湯
・道後温泉「椿の湯」~比較的混雑してない浴槽で道後温泉を堪能
・伊佐爾波神社~道後温泉や松山城を見守る歴史深い八幡宮
・湯築城と河野通直~道後温泉脇の古城訪問記
・夏目漱石~エリートの地位を捨て小説家になった?
・松山城~威風堂々と構える見事な構造もまさに伝統的な芸術
・伊予の戦国時代史跡を周る1泊2日旅の記録~松山城など
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