毛越寺(もうつうじ)は、岩手県西磐井郡平泉町にある天台宗の寺院です。
境内は国の特別史跡、毛越寺庭園は国の特別名勝、そして、平泉・中尊寺や金色堂などと共に「世界遺産」にも登録されていると言う、とてもスゴイところです。
創建は平泉・中尊寺と同じ850年で、円仁(慈覚大師)が開祖とされます。
円仁は、壬生首麻呂の子で、最後の遣唐使として唐に渡り、荒廃する長安から苦難のすえに帰国し、密教の普及に尽力した高僧です。
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なお、円仁の開基伝承は目黒不動(瀧泉寺)、山形の立石寺、松島・瑞巌寺、浅草の浅草寺など、たくさんあります。
このように、円仁開基の裏付けは無いようで、実質的には、俘囚長・安倍頼時の娘である有加一乃末陪(ありか-いちのまえ)が産んだ子で、奥州藤原氏の初代となった藤原清衡(ふじわら-の-きよひら)が創建したとも考えられます。
なお、大火で焼けてしまったようで、1117年頃から奥州藤原氏・第2代の藤原基衡(もとひら)と、妻である安倍宗任の娘、そして、3代・藤原秀衡が、壮大な伽藍を再興しました。
最盛期には、堂塔が40、僧坊は500もあったようで、平泉・中尊寺をしのぐ規模と華麗さがあったとされます。
現在の本堂も大きいですが、それは左端にあった場所にあり、昔の本堂は大泉(池)の正面に更に大きい建物があったようです。
金銀で豪華な伽藍となっていた金堂の円隆寺もあったと言います。
庭園の作者名は伝わっていませんが、浄土庭園と呼ばれる、極楽浄土を表現したような巧みな設計と作庭技術は、とても900年前のものとは思えません。
東北の内陸部に海岸を再現したようなものです。
その後、相次ぐ火災で荒廃しましたが、鎌倉幕府も保護しました。
戦国時代の1573年にも、兵火で焼けましたが、江戸時代には仙台藩からの庇護を受けて、現在の本堂も再建されています。
毛越寺の山門は、一関城の大手門を移築したものとなっています。
その山門にて拝観料を支払います。
庭園の様子は動画の方が分かりやすいです。
天気があまりよくなかったのですが、もし、よろしければ、ご覧頂けますと幸いです。
毛越寺への交通アクセス・行き方ですが、JR東北本線の平泉駅から歩くと徒歩9分です。
レンタサイクルや、岩手県交通・平泉町巡回バス「るんるん」でも来ることができます。
駐車場は、平泉町営毛越寺駐車場(350台)の有料駐車場が利用可能ですので、当方のオリジナル東北地図でポイントしてあります。
駐車券は、町営中尊寺駐車場で割引も受けられるようになっています。
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毛越寺の本堂へのお参りだけでしたら、駐車場からの観光所要時間で約20分といったところです。
ただし、庭園も見学しますと、広いので1時間以上はかかりそうです。
今回は3月末に訪問しましたが、雪混じりの雨となり、寒かったので庭園は断念しました。
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