北海道東部の標津町にある標津湿原。
ポー川史跡自然公園にもなっておりますが、ここは大変興味を引くところです。
くねくね蛇行しながらゆっくりと流れる「ポー川」の周りが、標津湿原(しべつしつげん)で国の天然記念物(天然保護区域)に指定されている。
北海道には湿原は多いので、標津湿原も普通の湿原と思いきや、ちょっと異なります。
総面積は約630haと、日本最大の山岳湿地・尾瀬ヶ原(面積760ha)に近い広大な広さで、標津湿原の中心は、雨と露が主な水の供給源となっている高層湿原です。
そのため、尾瀬で見られるような、本州2000m級の高山性の植物が、標高3mの標津湿原では生育しており、氷河期のツンドラ植物の生き残りとも言われる植物がも毎年5月~7月上旬にかけて「花」を咲かせます。
特に北海道でも山の上などでしか見れない絶滅危惧種、エゾゴゼンタチバナなどが、標津湿原の木道沿いに群生しています。
他には、ミズゴケの群生など、亜寒帯に近い環境になっています。
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更に、この標津湿原一帯には、標津遺跡群(しべついせきぐん)と言い、遺跡として認められる数が、日本最大の規模を誇るのです。
遺跡の時代としては、縄文時代から、北海道で栄えた続縄文文化や擦文文化、そして北方民族による文化といわれるオホーツク文化、更に本州では鎌倉時代の頃から始まったアイヌ文化の遺跡も認められます。
このポー川(ぽーがわ)の周辺だけで、北海道に人類が住み着いた5000年の歴史を語れます。
ポー川の「ポー」とは、アイヌ語で、大地の下(ポク)を流れている川と言う意味になってくるようです。
代表的なのは、伊茶仁カリカリウス遺跡(いちゃにカリカリウスいせき)で、国指定の史跡です。
ポー川と伊茶仁川に挟まれた標高20mの台地上にあり、確認できているだけで、竪穴住居跡が1200もあり、擦文文化の竪穴住居の構造が明らかとなっています。
古道遺跡では、擦文時代を中心とする219の竪穴住居跡と、コの字形の面崖式チャシ(砦)があります。
こちらも国指定史跡で、標高12mほどの台地の上には、縄文時代~続縄文時代の円・楕円形の竪穴住居跡のくぼみ52軒と、擦文時代の方形のくぼみ160軒も発見されています。
三本木遺跡は、標津川の左岸にありますが、海岸砂丘上にオホーツク文化の五角形ないし六角形の21軒分の竪穴住居跡があります。
その下層からは続縄文文化の遺構も発掘されており、同様に国指定史跡となっています。
また、標津川左岸の蛇行河川跡には21軒以上の竪穴住居跡のくぼみが確認できています。
これら、標津遺跡群の最大の特徴は、土を掘って発掘したと言う事ではなく、その大半が、現在の地表面に数千年も昔から、竪穴住居跡の窪みとして、そのまま残っていた事で、世界遺産候補にもなっています。
ポー川史跡自然公園は、自然豊かな湿原だけでなく、人類の長い営みも感じられると言う大変貴重な場所なのです。
ポー川史跡自然公園は、有料拝観となります。
冬季は積雪のため閉鎖されていますので、開園期間は4月29日~11月23日までとなり、この間は定休日はありません。
開園時間は朝9時~夕方16時30分までの入場で17時閉鎖となります。
ただ、広大なところですので、じっくりと散策したりしますと、数時間要するところですので、夕方ですとちょっとしか見れないと言う事になります。
入園料は大人310円、高校生・大学生は100円、中学生までは無料です。
歴史民俗資料館では、出土した品などの貴重な展示もあります。
なお、片道でも約3kmと、とてもエリアが広いため、歴史民俗資料館のところで、自転車の無料レンタル(貸自転車)を利用すると便利だと存じます。
湿原の木道を自転車で走行可能です。
クマ対策もあると良いでしょう。
熊よけの鈴の貸し出しもあります。
と言う事で観光所要時間は1時間~3時間といったところでしょうか?
無料駐車場は50台完備です。
ちょっと、場所が分かりにくいので、当方のオリジナル地図をご参照願えますと幸いです。
下記はオマケで、標津町の海岸より撮影した「国後島」です。
こんなにハッキリと島が、ロシア領になっており、船で海の真ん中を過ぎると、銃撃されてしまうと言うのは、本当に信じられない話です。
標津湿原(ポー川史跡自然公園)、今回は知床から野付半島に行く途中の予定外訪問であったため、簡単な写真撮影に留めましたが、じっくりと時間をかけて訪れたいところでした。
やっぱり、道東は良いところだと、改めて実感した次第です。
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