中国地方観光

吉備津神社の解説 桃太郎伝説もある荘厳な国宝の本殿や回廊

吉備津神社

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吉備津神社(きびつじんじゃ)は、岡山県岡山市北区吉備津にある神社で、備中国での一宮となります。
縁結びや、夫婦円満、安産育児、長寿、商売繁盛、大願成就などにご利益がある、人生を豊かにしてくれるであろうパワースポットです。

吉備津神社

吉備の中山の麓にあるのが吉備津神社ということになりますが、この山は、古来より神が宿る山とされるほか備前国・備中国の境界線でもあり、備前国の一宮である吉備津彦神社が中山の北東の麓にあります。
一国を代表する神社である一宮が、こんなに近く1.5kmくらいと隣接しているのは、非常に珍しいのではないでしょうか?
古くからこの辺りは大変豊かだったことを伺わせます。

そして、吉備津神社も吉備津彦神社も、共に主祭神は大吉備津彦命となっているのが特徴です。

吉備津神社

吉備津彦命(きびつひこのみこと)と言うのは、第7代天皇である孝霊天皇(こうれいてんのう)の子・彦五十狭芹彦命(ひこいさせりひこのみこと)です。
大吉備津彦命は、弟の稚武彦命(わかたけひこのみこと)と一緒に奈良のヤマト王権から各地の討伐に出た崇神朝四道将軍のひとりとなります。

吉備津神社

西国にやってきて政権の勢力を伸ばし、吉備の中山の麓に「茅葺宮」を造影して住まいとして、吉備を統治したと言うことでしょう。
妃としては、百田弓矢比売命、高田姫命(たかだひめのみこと)の名が伝わります。

吉備津神社

また、背後の独立丘陵「吉備の中山」の山上には中山茶臼山古墳と言う、大型の前方後円墳があり、大吉備津彦命(吉備津彦命)の墓と言われていますが、281歳で死去したともあります。

吉備津彦命の子孫は吉備氏(きびうじ)として有力地方国家を築き、大和朝廷とも密接な関係を持ちます。
吉備津彦命(大吉備津彦命)の弟・稚武彦命(わかたけひこのみこと、若建吉備津日子)の娘とされる播磨稲日大郎姫(はりまのいなびのおおいらつめ)は、第12代景行天皇の皇后となりました。
そして、あの「日本武尊」(ヤマトタケル)を産んでいます。
また、日本武尊東征の従事した吉備武彦(きびのたけひこ)は、娘・吉備穴戸武媛(きびのあなとのたけひめ)をヤマトタケルの妃としています。

吉備津神社

邪馬台国の女王・卑弥呼(ひみこ)が吉備関連であると言う説ですと、卑弥呼は大吉備津彦命の姉・大倭迹々日百襲比賣命(倭迹迹日百襲姫命)(やまとととひももそひめのみこ)ともされています。

もちろん古い時代のことでわかっていなとこもたくさんあり、諸説ありますが、まさに、日本書紀や古事記に出てくる伝説の地と言えます。

鬼退治「温羅

吉備津彦命は吉備を平定した際に、温羅(うら・うんら・おんら)という鬼を討ったという伝承があります。
この温羅と言う鬼は、は鬼ノ城に住んでいたと言うことですが、吉備津彦命は犬飼健(いぬかいたける)・楽々森彦(ささもりひこ)・留玉臣(とめたまおみ)という3人の家来と一緒に討伐しました。
※下記の写真は、成羽陣屋跡にあるものです。

温羅と吉備津彦

そして、祟りを鎮めるため、温羅の首を吉備津神社の釜の下に封じたと言います。

要するに、この温羅と言う鬼は、もともと吉備を支配していた旧領主で、中央から進出した政府軍が武力をもって討伐してきた為、鬼ノ城にて籠城するも敗れたと言えるでしょう。
温羅は日本人では無かったようで、よその土地から吉備にやってきて、製鉄技術を持って支配者となったようです。
空を飛べた、大男で怪力無双、大酒飲みなどの逸話があります。
また、弟も一緒にいたようで、その名は王丹(おに)で、温羅の妻は阿宗神社?の阿曽媛(あそひめ)との事です。


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討伐に参加した部隊長である、犬飼武命(いぬかいたけるのみこと)は、忠実な家臣で桃太郎では犬(イヌ)のモデル。
楽々森彦命(ささもりひこのみこと)は智将で、猿(サル)のモデル。もともと吉備出身だったようで、娘の高田姫命が吉備津彦命に嫁いだともされます。
留玉臣命(とめたまのみこと)は鳥飼に優れた家臣で、桃太郎での雉(キジ)のモデルですね。
吉備団子(きびだんご)を与えて家来に加え、鬼ヶ島まで鬼を退治しに行くと言うのが、島ではなく鬼ノ城だったと言うことでしょうか?

この伝説が、有名な日本昔話でもある「桃太郎」の原型になった可能性が高いと推測できますが、もちろん、諸説あり、どれが正しいと言うことは言えないでしょう。
ただし、今ではJR西日本の吉備線も、愛称は「桃太郎線」となっています。

吉備津神社

吉備津神社の2つの屋根を並べた独特の本殿は、足利義満が1425年に造営したとされる比翼入母屋造(吉備津造)で、拝殿と一緒に国宝に指定されています。
建設には25年の年月が掛かったとのことです。

また、社殿の3棟が、国の重要文化財であり、鳴釜神事が有名です。
鳴釜神事(なるかましんじ)と言うのは、カマの中にお米を入れて炊いた際に鳴る音で、吉凶を占うと言うものです。
始まった由来としては、退治された温羅の妻・阿曽郷の祝の娘である阿曽媛に、炊かせれば、温羅自身が吉備津彦命の使いとなって、吉凶を告げると、吉備津彦命の夢に出たとされます。

吉備津神社よりも東北の方角には「艮御崎神」(艮御崎神社)として温羅と弟・王丹が祀られていますが、温羅の胴体を埋葬した地との伝承があるようです。

このような伝承などもあるため、総鎮守である吉備津神社の創建はかなり古く不明です。


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仁徳天皇が行幸した際に、大吉備津彦(おおきびつひこ)命の功績を称えて創建したとも、御祭神・大吉備津彦命の5代目の孫・加夜臣奈留美(かやおみなるみ)命が、ご先祖様を祀ったなどとも言われます。

古くは、温羅が建造した神社が、彦五十狭芹彦命が新たな領主になったことで、祀神を変更したと言う可能性もあるでしょう。

なお、大化の改新前の古代には備前国・備中国・備後国・美作国をまとめて「吉備国」となっていたようで、古事記には兵庫県の加古川以西が吉備とされています。

戦国時代岡山城主・宇喜多直家や、広島城に入った小早川秀秋などの保護を受けました。

戦国時代の天正7年(1579年)に再建された長さ400mある回廊(かいろう)は、自然の傾斜をそのままいかしていますが、一直線になっています。

吉備津神社

回廊の中は、普段でも通行することができます。

吉備津神社

このように、大変見どころある素適な境内ですが、吉備津神社の拝観時間は朝5:00~18:00と、夜まで入れるというわけではありませんので注意が必要です。

交通アクセスですが、電車の場合、JR吉備線「吉備津駅」にて降りて徒歩10分となります。
約400台の駐車場完備です。

なお、戦国期には黒田官兵衛も占ったと言う鳴釜神事(なるかましんじ)が行われる「御竃殿」(おかまでん)の拝観・神事は、金曜日を除いて、朝9時~14時までにきちんと申し込みをすれば、普段でも実際に体験することが可能です。

御竃殿

社務所にて祈祷申込み(祈祷初穂料3000円から)する際に鳴釜神事も一緒に申込をすれば、追加の初穂料は不要です。
最初は「祈祷殿」にてご祈祷となり、その後「御竃殿」へと移動して鳴釜神事となります。
ただし、吉だったのか、凶だったのかを神社側で言うことはなく、本人の判断に任せると言う条件になっています。

境内は自然も豊かで、春にはサクラ、そして約400本のボタン(牡丹)は4月下旬~5月上旬、岩山宮へと続く山道には約1500株のアジサイ(紫陽花)があり、6月中旬~7月上旬が見頃となります。

また、お正月は初詣の参拝客も多いようです。
一歩入るとタイムスリップしたような別世界が広がっており、身が引き締まるような神聖な空気を感じながらお参りさせて頂きました。

吉備津彦神社もセットでどうぞ。

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髙田

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