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約1300年前に開湯した信州の渋温泉(しぶ-おんせん)。
戦国時代には武田信玄の隠し湯にもなりました。
そんな古き良き時代の面影があちこちに残る渋の温泉街には、9箇所の「外湯」があります。
その外湯の多くは宿泊客でないと入浴できないと言う事もあり、今回、渋温泉に宿泊し、外湯巡りを敢行致しました。
渋温泉の外湯
枕草子に「有馬温泉」「玉造温泉」と並んで登場するのが渋温泉です。
渋温泉の外湯は9箇所ありますが、草津温泉のような大きな旅館はありません。
軒が迫った細い石畳の道で、大変風情ある昔ながらの温泉街の雰囲気を満喫しながら歩いて外湯を周れます。
すべての源泉が自然湧出の温泉です。
外湯と言うのは、地元の方が毎日利用する共同浴場で、昔から大切に守られてきました。
そんな外湯が渋温泉の旅館に泊まる宿泊客にも、地元の皆様のご厚意で無料解放されています。
宿泊客が「外湯」を利用する際には、旅館で貸し出される「カギ」と「タオル類」を持って、外湯に行き、ドアのカギを開けて入浴すると言う感じです。
途中でジュースを買うのに、小銭くらいは持って行った方が良いかもしれません。
そのため、外湯の大半は日帰り入浴はできません。
ただし、少し大きめの外湯である「9番・大湯」だけは、下記のとおり「日帰り入浴」(立ち寄り湯)が可能です。
順番にご紹介しますので、最後の9番目をご確認願います。
外湯に入浴できる時間は朝6時~夜22時までで、清掃中は入浴できませんので、ご注意願います。
旅館にチェックインしたあとですので、浴衣と貸し出される下駄で温泉街を散策しながら、外湯巡りができます。
タオルは旅館のを持ち出してください。
なお、外湯にはシャンプー・石鹸類は一切ありませんので、体を洗うのは旅館の浴室でと言う事になります。
外湯はすべて加水なし・加温なし・消毒ナシの100%掛け流しとなります。
それでは、苦労(九労)を流すと言われる、渋温泉の「九つの外湯めぐり」をご紹介申し上げます。
一番湯・初湯
源泉名は、渋温泉総合源泉(比良の湯、薬師の湯、とんびの湯の混合泉)で、ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉となります。
胃腸に良いとされる泉質で、pH4.0、成分総計は1.204g/kg。
源泉は57℃くらいありますので、先に入浴した方がいないと「熱い」です。
熱い場合には、水道の水で「ぬるく」して入浴することが許可されています。
ただし、流しっぱなしにすると、あとの方が、こんどは冷たくて入れなくなりますので、必ず水道は止めて退出願います。
入浴した際には先客が1名おられまして、色々と話し込んでしまいました。
適度な狭さの外湯は、ほんと会話も弾みます。
しかし、余りにも「熱い」ので、そそくさと退散しました。む
二番湯・笹の湯
源泉名は、渋温泉総合源泉(比良の湯、薬師の湯、とんびの湯の混合泉)で、ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉。
1番湯と同じ源泉を用いているようですが、湿疹などに効能があり、病気の快復時にも良いとのことで、別名「仕上げの湯」と呼ばれています。
入浴した際には、どなたもいらっしゃいませんでした。
ただ、熱いので5秒くらいで退散してしまいました。
外に出て、自動販売機でジュースを購入。
三番湯・綿の湯
源泉名は、渋温泉総合源泉(比良の湯、薬師の湯、とんびの湯の混合泉)で、ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉。
ここも1番湯・2番湯と同じ源泉のようですが、白い湯の花が見られるとの事で、切り傷や皮膚病に良いらしいです。
さて、3番湯ですが、どなたもいらっしゃいませんでした。
しかし、何度も脱いでは入浴して、身体を丁寧に拭いて上がると言うのが、体力的に苦痛となってきたと申しましょうか?、とにかく、水を注いでぬるくするのにも時間を要します。
そのため、3番湯は「足」のさきっちょだけ、ちょこっとご入浴したと言う事で切り上げました。(^_^;)
四番湯・竹の湯
竹の湯という名前の由来は、その昔、地獄谷方面から引き湯した際に「竹筒」を用いて引き湯したからだと言います。
源泉は、横湯第一ボーリング、横湯第二ボーリング、熱の湯の混合泉です。
泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉なので、これまでの外湯と特段変わりはありません。
ただし、源泉温度が70.5℃、pH7.6と、異なります。
成分総計は1.268g/kgですので、そんなに違いはありません。
慢性痛風に効くそうですが、どこか痛い訳でもないので、ここも、「足」の先だけ、ちょとご入浴・・。
五番湯・松の湯
源泉は、横湯第一ボーリング、横湯第二ボーリング、熱の湯の混合泉で、泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉と、4番湯と同じです。
神経痛や病気回復に良いらしいですが、泉質が他と同じですし、なんか適当に効能として付けただけのような気がしてきました。
そうそう、浴槽の写真があるのは、どなたもいらっしゃらなかった外湯だけ撮影しましたので、ご了承願います。
「足」の先だけご入浴で、すみません。
渋温泉の温泉街
渋温泉の温泉街は昔の情緒が、色濃く残っています。
少しゆっくり散策するだけでも楽しい所ですが、狭い道をクルマも通りますので、その点はご注意願いたく存じます。
しかし、渋温泉は自噴で消毒など一切ない100%掛け流し温泉ですので、本当に最高です。
渋温泉は、子供は熱くて入れない可能性が高いです。
熱い湯船でも、掛け湯を何杯も(10杯以上)させて、体を慣らせば入りやすいので実践して欲しいです。
六番湯・目洗い湯
源泉は、目洗の湯とガニ沢の湯の混合泉で、泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉です。
源泉温度は52.5℃、pH7.6、成分総計は1.125g/kg。
昔から大勢の人の眼病が治ったとされる、目に良い温泉ですが、すべすべ感もあるので、美人の湯ともされています。
地元の方や、宿泊客にも人気の外湯です。
七番湯・七操の湯
源泉は七繰の湯の単独泉で、泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉です。
源泉温度は50.9℃と、渋温泉の外湯では最も低めで入浴しやすそうです。
pH7.5、成分総計は1.335g/kg。
暑い夏季でなければ、各外湯、じっくりと堪能したいところですので、冬に行くべしと強く感じました。
八番湯・神明滝の湯
源泉名は神明滝の湯(渋温泉総合源泉と寺の湯の混合泉)で、泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉で、変わりありません。
入口に、笑点でおなじみの、三遊亭圓楽(6代目)さんのポスターが貼ってあります。
なんでも、三遊亭円楽師匠は、昔からよく渋温泉に宿泊なさっているようで、山ノ内町の観光大使にも就任されており、三遊亭円楽の寄席も良く開催されるそうです。
さて、昔、神明滝の湯は「滝のような打たせ湯」になっていたそうで、今は湯船ですが、婦人病・子宝に恵まれる湯と言われています。
九番湯・大湯
2006年7月1日より昼間の時間に限り、日帰り入浴可能となった九番湯・大湯です。
少し地下と申しましょうか?、斜面の下にあるようで、地下のようになっています。
渋温泉の外湯では、一番大きな湯船になっており、男性の入口と女性の入口は、正反対側にあります。
源泉名は渋大湯(大湯と渋温泉総合源泉の混合湯)で、泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉です。
渋温泉の他の外湯は透明の温泉水ですが、ここ大湯だけは茶色い濁り湯で、透明度20cmといったところですので、絶対に入浴してみてください。
温泉を使用した「蒸風呂」も併設されていますが、外湯で、しかも天然温泉の湯気を使用したサウナは珍しいです。
子宝、リュウマチ、神経痛に効くとされています。
浴槽の周りが板張りになっており、板と板の隙間から廃湯されています。
浴槽は4~6人が入れるものが2つあり、奥が熱く手前がぬるめです。
しかし、源泉62.6℃がそのまま注がれている源泉掛け流しですので、熱い場合は他の利用者すべてに同意を得て、水を注いで薄めてください。
pHは4.5、成分総計は1.243g/kgです。
なお、この大湯だけは日帰り入浴も可能です。
ただし、チケット売場は現地ではありません。
渋温泉旅館組合事務所または渋温泉駐車場にて、事前に「入浴券」(500円)買って、入浴券の裏面に記載してある大湯周辺の旅館・商店の1つに提示すると、大湯の鍵を開けてもらえます。
鍵はオートロックなので、再入浴はできません。
日帰り入浴可能時間は10時~16時。入浴券は昼休みなどは販売していないので注意が必要です。
また、15名以上の団体での日帰り入浴は不可です。
宿泊客は、旅館で渡される外湯のカギで入れますが、ドアが壊れ気味なのか?、カギが開きにくかったです。
ちなみに、大湯でも先客の方と、話し込んでしまいました。
渋温泉は、他に入浴されている方がいれば、どこでも会話が弾んでしまいます。
脱衣所も広くて、100円が戻らないカギロッカーもあります。
浴室には洗い場などはないので、体を洗ったりすることはできません。
渋温泉・大湯の建物の上には道路側から行ける無料の足湯があるので、湯上り後の待ち合わせ場所にすると良いです。
番外湯「信玄かま風呂」
最後に武田信玄が寄進したと言う温泉寺に行きました。
温泉寺の境内には、別料金で入浴できる「信玄かま風呂」があるからです。
武田信玄ゆかりの温泉とあらば、行かない訳に参りません。
しかし、温泉寺もなかなか立派なお寺さんですよ。
武田信玄の安堵状の碑もありました。
しかし、肝心の「信玄かま風呂」が閉まっています。
張り紙を読むと「老朽化により無期限休業中」・・。
旅館や街にある地図には、しっかりと「かま風呂」と記載があるのに、消去もされていないので、これは頂けません。
やはり、田舎の温泉街と言う事なのでしょうか?
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渋温泉へのアクセス
ここでは、9番湯・大湯を日帰り利用する場合を想定して、渋温泉への行き方を記載させて頂きます。
車の場合は、渋温泉街に入って渋湯橋を渡って対岸の崖下に有料駐車場があります。
駐車料金は60分=300円又は1日500円。
駐車場から大湯は歩いて5分くらいです。
電車の場合は長野駅から長野電鉄の湯田中行き特急約50分、湯田中駅終点で下車し、「上林行き」バス約8分、渋温泉和合橋停留所にて下車です。
有料駐車場がある場所は下記の地図ポイント地点となります。
近くには地獄谷温泉のニホンザルも有名ですので、時間があればセットでどうぞ。
以上、温泉ソムリエ・高田のレポートでした。
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